中小企業退職金共済(中退共)

中小企業向けの退職金制度です。外部積立の退職金になります。
厚生労働省所管の独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営しています。

R6年9月末現在で、共済契約者数 379,160所、被共済者数 3,627,701人です。
運用資産総額は、約5.6兆円です。1

加入できる中小企業

一定以下の企業の規模であること。常用従業員と資本金・出資金はいずれかを満たせば加入できます。

業種常用従業員資本金・出資金
一般業種300人以下3億円以下
卸売業100人以下1億円いか
サービス業100人以下5000万円以下
小売業50人以下5000万円以下

同居の親族のみの場合でも加入できます。
他企業年金との間での移行制度があります。

加入できる従業員

従業員は全員加入が原則です。年齢制限はありません。

以下の従業員は加入させなくても構いません。

  • 期間を定めて雇用される従業員
  • 季節的業務に雇用される従業員
  • 試用期間中
  • 短時間労働者
  • 休職期間中
  • 定年などで相当の期間内に雇用関係の終了することが明らかな従業員

短時間労働者は、特例があります。

特例業種退職金共済制度、小規模企業共済制度、社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している従業員は、中退共に同時に加入することはできません。

掛金と給付

掛金は、全額事業主が支払います。法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費になり、全額非課税です。

掛金は、5,000円から30,000円までで、従業員ごとに設定できます。
掛金の平均は7,718円で、最頻値は5,000円(55.7%)です(R6年9月末現在)。
新規加入と月額を増額した場合には、一年間、国からの助成金があります。

退職金は、直接従業員の銀行口座に支払われます。
一括払いが基本ですが、60歳以上の場合5年または10年の分割払いもできます。(年1%の利率)

年利1%でで計算した基本退職金と、運用状況による付加退職金の合計額になります。
モデル退職金で、大卒60歳定年で、約1,000万円です。中小企業の退職金の一般的な額です。

iDeCoとの関係

iDeCoに対しては、企業年金の扱いになりません。

税金での扱い

一括払いは、退職所得になります。勤続期間の計算は、掛金の納付期間になります。
分割払いは、公的年金控除の対象となる雑所得になります。支払い時に源泉徴収されます。
遺族に支払われる場合は、みなし相続財産で相続税の対象になります。
解約手当金は、一時所得になります。


  1. https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/information/pdf/r06_09_gaikyou.pdf ↩︎

参考

中小企業退職金共済事業本部
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/

よくわかる中退共制度 詳細版 2024.03
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/_assets/pdf/kentou/syousai.pdf

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