育児時短就業給付

令和7年4月1日から、育児によって時短勤務をする場合に、賃金の低下について給付金が支給される制度が始まります。

まだ、厚労省の良いリーフレットなどがないようなので、今回は、令和7年4月1日施行の雇用保険法を条文ベースで見ていきたいと思います。
※は、https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf によります。

育児休業給付が、育児休業給付になりました。出生後休業支援給付金と育児時短就業給付が等の部分です。
このページでは、育児時短就業給付の条文を見ていきます。

(育児時短就業給付金)
第六十一条の十二

育児時短就業給付金は、被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、その二歳に満たない子を養育するための所定労働時間を短縮することによる就業(以下この節において「育児時短就業」という。)をした場合において、

育児休業給付金は、原則は1歳に満たない子ですが、育児時短就業給付金は2歳未満です。

当該育児時短就業(当該子について二回以上の育児時短就業をした場合にあつては、初回の育児時短就業とする。)を開始した日前二年間(当該育児時短就業(当該子について二回以上の育児時短就業をした場合にあつては、初回の育児時短就業とする。)を開始した日前二年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間))にみなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたとき、

育児休業給付金と同じです。

又は当該被保険者が育児時短就業に係る子について、育児休業給付金の支給を受けていた場合であつて当該育児休業給付金に係る育児休業終了後引き続き育児時短就業(当該子について二回以上の育児時短就業をした場合にあつては、初回の育児時短就業とする。以下この項、第三項及び第六項において同じ。)をしたとき、若しくは出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であつて当該出生時育児休業給付金に係る出生時育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたときに、支給対象月について支給する。

育児休業から連続して時短就業する場合

同じ子の育児休業給付金・出生時育児休業給付金を受ける休業から引き続く場合もOKです。

育児休業と時短就業の間に14日以内の間がある場合も、引き続きとして取り扱われるようです(※)。
育児休業に引き続き時短就業する場合は、賃金証明書の提出は不要になるようです(※)。


2 前項の規定にかかわらず、支給対象月に支払われた賃金の額が、厚生労働省令で定めるところにより、労働者をその賃金の額の高低に従い区分し、その区分された階層のうち最も高い賃金の額に係る階層に属する労働者の賃金の額の中央値の額を基礎として厚生労働大臣が定める額(第六項及び第九項において「支給限度額」という。)以上であるときは、当該支給対象月については、育児時短就業給付金は、支給しない。

支払われた賃金額が上限を超える場合は、育児時短就業給付金は支給されません。高年齢雇用継続基本給付金や高年齢再就職給付金と同様の仕組みです。


3 第一項の「みなし被保険者期間」は、育児時短就業を開始した日を被保険者でなくなつた日とみなして第十四条の規定を適用した場合に計算されることとなる被保険者期間に相当する期間とする。

育児休業給付金と同じです。

4 労働基準法第六十五条第二項の規定による休業をした被保険者であつて、前項に規定するみなし被保険者期間が十二箇月に満たないものについての第一項及び前項の規定の適用については、第一項中「、当該育児時短就業(当該子について二回以上の育児時短就業をした場合にあつては、初回の育児時短就業とする。)を開始した日」とあるのは「、特例基準日(当該子について労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を開始した日(厚生労働省令で定める理由により当該日によることが適当でないと認められる場合においては、当該理由に応じて厚生労働省令で定める日)をいう。以下この項及び第三項において同じ。)」と、「(当該育児時短就業(当該子について二回以上の育児時短就業をした場合にあつては、初回の育児時短就業とする。)を開始した日」とあるのは「(特例基準日」と、前項中「育児時短就業を開始した日」とあるのは「特例基準日」とする。

産前産後休業があることで、12ヶ月の被保険者期間の要件を満たさない場合の特例

概ね育児休業給付金と同じです。労働基準法65条1項は産前休業、2項は産後休業です。
育児休業給付金を受給して、同じ子の時短就業給付金を受ける場合は、1項の規定になります。

産前産後休業を入れると12ヶ月の要件を満たさなくなる場合は、産前休業の開始日を基準日にします。

5 この条において「支給対象月」とは、被保険者が育児時短就業を開始した日の属する月から当該育児時短就業を終了した日の属する月までの期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金、出生時育児休業給付金若しくは出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業をしなかつた月に限る。)をいう。

育児休業給付金は、育児休業開始日から1ヶ月毎ですが、時短就業給付金は歴月単位です。


6 育児時短就業給付金の額は、一支給対象月について、次の各号に掲げる区分に応じ、当該支給対象月に支払われた賃金の額に当該各号に定める率を乗じて得た額とする。ただし、その額に当該賃金の額を加えて得た額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該賃金の額を減じて得た額とする。
 一 当該賃金の額が、育児時短就業開始時賃金日額(育児時短就業給付金の支給を受けることができる被保険者を受給資格者と、当該被保険者が当該育児時短就業給付金の支給に係る育児時短就業を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして第十七条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(当該被保険者が、当該育児時短就業に係る子について、育児休業給付金の支給を受けていた場合であつて当該育児休業給付金に係る育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたときは第六十一条の七第六項に規定する休業開始時賃金日額とし、出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であつて当該出生時育児休業給付金に係る出生時育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたときは第六十一条の八第四項に規定する休業開始時賃金日額とする。)をいう。以下この項及び次項において同じ。)に三十を乗じて得た額の百分の九十に相当する額未満であるとき百分の十
 二 当該賃金の額が、育児時短就業開始時賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の九十に相当する額以上百分の百に相当する額未満であるとき育児時短就業開始時賃金日額に三十を乗じて得た額に対する当該賃金の額の割合が百分の九十を超える大きさの程度に応じ、百分の十から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率

賃金日額は、育児時短就業を開始した前日に離職した日とみなした賃金日額ですが、
育児休業から引き続く場合は、育児休業の休業開始時賃金日額とし、
出生時育児休業給付から引き続く場合は、出生時育児休業開始時賃金日額になります。

支給対象月の賃金の額x支給率 が、給金の額になります。
給付金+賃金の額>支給限度額 となるときは、支給限度額を超えないように減額されます。

支給率
 1. 賃金の額 < 育児時短就業開始時賃金日額 x 30 x 90% のとき、10%
 2. 賃金の額 ≧ 育児時短就業開始時賃金日額x30x90%、 賃金の額 < 育児時短就業開始時賃金日額x30 のとき、10%から一定の割合で逓減した率

育児時短就業開始時賃金日額
・育児時短就業を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして算定した賃金日額に相当する額
・育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたときは、育児休業給付金の休業開始時賃金日額
・出生時育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたときは、出生時育児休業給付金の休業開始時賃金日額


7 前項第一号の規定により育児時短就業開始時賃金日額を算定する場合における第十七条の規定の適用については、同条第四項中「第二号に掲げる額」とあるのは、「第二号ハに定める額」とする。

賃金日額の上限額は、14,850円です。(常に30歳以上45歳未満の区分が適用されます)
下限は、2,460円です。
月額にすると、30倍の 445,500円と73,800円です。
両方とも平均給与額による自動変更があります。毎年8月1日から変わります。

令和6年8月1日~
上限 15,690円、下限 2,869円


8 第一項及び第六項の規定にかかわらず、同項の規定により支給対象月における育児時短就業給付金の額として算定された額が第十七条第四項第一号に掲げる額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)の百分の八十に相当する額を超えないときは、当該支給対象月については、育児時短就業給付金は、支給しない。

支給される下限額の設定があります。
2,460円(自動変更あり)の80%を超えないときは、支給されません。

9 厚生労働大臣は、年度の平均給与額が令和五年四月一日から始まる年度(この項の規定により支給限度額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年度の八月一日以後の支給限度額を変更しなければならない。

高年齢雇用継続基本給付金の支給限度額と同様に、限度額が変更されます。


10 育児時短就業給付金の支給を受けることができる者が、同一の就業につき高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金の支給を受けることができる場合において、その者が高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金の支給を受けたときは育児時短就業給付金を支給せず、育児時短就業給付金の支給を受けたときは高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金を支給しない。

育児時短就業給付金と、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金とは、併給されません。選択になります。

(給付制限)
第六十一条の十三 第六十一条の九の規定は、育児時短就業給付について準用する。この場合において、同条第二項中「係る育児休業を」とあるのは「係る育児時短就業(第六十一条の十二第一項に規定する育児時短就業をいう。以下この項において同じ。)を」と、「新たに育児休業」とあるのは「新たに育児時短就業」と、「同項の」とあるのは「前項の」と、「育児休業に」とあるのは「育児時短就業に」と読み替えるものとする。

61条の9は、出生時育児休業給付です。
読み替え:
偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、育児休業給付の全部又は一部を支給することができる。
2前項の規定により育児休業給付の支給を受けることができない者とされたものが、同項に規定する日以後、当該育児休業給付の支給に係る育児時短就業を開始した日に養育していた子以外の子について新たに育児時短就業を開始し、育児休業給付の支給を受けることができる者となつた場合には、前項の規定にかかわらず、当該育児時短就業に係る育児休業給付を支給する。

不正をした場合、以後、育児休業給金は支給されなくなりますが、その後に養育することになった子の新たな給付は受けられます。

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