Q.育児休業中に就労しても良いか?どのような就労ならよいか?
原則: 「育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育を行うために、休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度であり、休業期間中に就労することは想定されていません。」1
なお、育児休業以外で育児との両立のために時短やテレワーク等の推進がされていますが、育児休業中の就労は緩和されていません。
また、育児中の時短勤務への給付金が2025年4月から開始されます。
ただし、一時的・臨時的な就労であれば、育児休業給付金が支給されます。
就労の状況により、育児休業給付金の減額・不支給や、社会保険料が免除されないことに繋がりますので、注意が必要です。
支給が減額・不支給になる場合
支給単位期間に、10日超、かつ就業時間が80時間を超える場合は、支給されません。
他の会社で働いた分もカウントされます。
支払われた賃金と育児休業給付金の合計が、賃金月額の80%を超える場合は、超えた分が減額されます。
賃金月額の80%以上の賃金が支払われた場合は、不支給されません。
雇用保険の被保険者となっていない事業所からの賃金は含みません。
就労させる場合の要件
労使の合意が必要です。労使協定ではなく、当該労働者との個別の合意です。
恒常的・定期的な就労は、育児休業に該当しなくなります。
在宅勤務・短時間勤務制度での就労も含まれます。
厚労省リーフレットでの紹介事例
突発的な原因と、その労働者が対応する必要性をある程度要するようですが、有給休暇の時季変更権と比べると要件が緩いように感じます。1ヶ月の営業日数が20日として、半分まで勤務しても、支給要件の範囲内に収まります。
子の養育を行うために休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度ですから、その趣旨を損ねる、休業中に定期的な勤務を定めるような場合は、育児休業とは認められないことになっています。
補足解説
支給単位期間とは
育児休業を開始した日から1ヶ月ごとが支給単位期間になります。
支給単位期間は、申請書の記述で例を挙げると、令和6年8月31日から育児休業を開始する場合は、
8月31日から9月29日
9月30日から10月30日
10月31日から・・・
となります。
「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」での記述例。
期間の初日は、休業開始日です。次の期間は、休業開始日に応当する日(同じ数字の日)からで、その月に応当日がない場合は、末日から始まります。
就業日は、全日に渡って休業している日以外です。
社会保険料等
育児休業中の賃金は、雇用保険料の対象になります。
育児休業中の厚生年金・健康保険は、労使ともに免除されます。
育児休業給付金は非課税です。
不支給の決定を受けて不服がある場合
審査請求できます。
請求先:都道府県労働局の雇用保険審査官(東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、山梨は、東京の管轄です。)
処分をしたハローワークまたは住所地のハローワーク経由にもできます。
期限:処分のあったことを知った日の翌日から起算して、3ヶ月以内です。
方法:文章または口頭で請求します。
雇用保険法
第六十九 条第九条の規定による確認、失業等給付及び育児休業給付(以下「失業等給付等」という。)に関する処分又は第十条の四第一項若しくは第二項の規定(これらの規定を第六十一条の六第二項において準用する場合を含む。)による処分に不服のある者は、雇用保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
参考
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
育児休業制度の労働基準法上の取扱いについて 平成3年12月20日基発第七一二号
育児休業給付について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001276629.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15420.html
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf