年金額が基礎年金満額に満たないような受給者や、所得の少ない障害年金や遺族年金の受給者に対する支援です。
注:断り書きがなければ、金額は令和6年度のものです。
手続き
新規の対象者に、請求するための書類が送られる。
請求の翌月分から支給される。
年金と同様に、2か月分が支払われる(年金と合算はされない)。
前年所得による要件は、10月から適用される。年金受給者の所得が下がったことで適用になる場合、9月から書類(はがき)が送られる。
参考リンク
厚生労働省 年金生活者支援給付制度
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin
給付基準額
給付基準額は、月額5,000円です(消費者物価指数により、毎年4月から改定されます)。
R6/4以降は、5,310円です。
要件と給付額
65歳以上の老齢基礎年金の受給者の場合
要件
同一世帯の全員が市町村民税非課税
前年の公的年金等の収入(障害年金・遺族年金等の非課税所得を含まない)とその他の所得の合計が889,300円以下(昭和31年4月1日生まれ以前の場合は、887,700円)
789,300円を超える場合は、補足的老齢年金生活者支援金が支給される。調整支給率が掛けられる(昭和31年4月1日生まれ以前の場合は、787,700円)。
調整支給率 = (889,300 – 所得) / (889,300 – 789,300) ※昭和31年4月2日以後生まれの場合
給付額
1と2の合算額
1.給付基準額(約5,000円) x 国民年金の保険料納付済期間 / 480
2.老齢基礎年金の額 x (保険料免除期間の月数 x 1/6(1/4免除期間にあっては、1/12))/ 480 / 12
保険料全額免除、3/4免除、1/2免除は同一です。
障害基礎年金の受給者
要件
前年(1月から9月の分については前々年)の所得が 4,721,000円(扶養親族等がないとき)以下
扶養親族等がある場合は、以下を加算する。
同一生計配偶者(70歳以上)・老人扶養親族 48万円/人
特定扶養親族等(19歳未満) 63万円/人
その他の扶養親族等 38万円/人
所得の計算については細かいので省略します。
給付額
障害等級2級 月額 給付基準額(約5,000円)
障害等級1級 2級の1.25倍
遺族基礎年金の受給者
要件
障害基礎年金の場合と同じ
給付額
月額 給付基準額(約5,000円)
計算例
R5の場合、基礎年金の満額 795,000円。給付基準額 5,140円。
老齢基礎年金の半分が未納の場合
老齢基礎年金 795,000 * 240 / 480 = 397,500円/年
納付済み期間に基づく給付金 5,140 * 240/480 = 2,570円/月
年額だと、30,840円です。
老齢基礎年金の半分が1/2免除の場合
老齢基礎年金 795,000 * (240 + 240 * 3/4) / 480 = 695,625円/年
注:平成21年4月以降の免除期間のみの場合
納付済期間に基づく給付金 5,140 * 240/480 = 2,570円/月
免除期間に基づく給付金 795,000 * (240 / 6) / 480 / 12 = 5,521円/月
年額だと、97,092円です。
老齢基礎年金と給付金の合計は、792,717円です。
老齢基礎年金の360か月が納付済みで、120か月が1/4免除の場合
老齢基礎年金 795,000 * (360 + 120 * 7/8) / 480 = 770,156円/年
注:平成21年4月以降の免除期間のみの場合
納付済期間に基づく給付金 5,140 * 360/480 = 3,855円/月
免除期間に基づく給付金 795,000 * (120 / 12) / 480 / 12 = 1,380円/月
年額だと、62,820円です。
老齢基礎年金と給付金の合計は、832,976円です。
老齢基礎年金がすべて免除期間の場合
老齢基礎年金 795,000 * (480 * 1/2) / 480 = 397,500円/年
注:平成21年4月以降の免除期間のみの場合
納付済期間に基づく給付金 5,140 * 0/480 = 0円/月
免除期間に基づく給付金 795,000 * (480 / 6) / 480 / 12 = 11,042円/月
年額だと、132,504円です。
老齢基礎年金と給付金の合計は、530,004円です。
まとめ
老齢基礎年金だけしか受け取っていなくて、免除が多かった人に多く補填される。
老齢基礎年金の月数換算 | 支援給付金(老齢基礎年金の月数換算) | 合計 | |
全額免除 | 1/2 | 1/6 | 67% |
3/4免除 | 5/8 | 1/6 | 79% |
半額免除 | 3/4 | 1/6 | 92% |
1/4免除 | 7/8 | 1/12 | 95% |
補足
支給に要する費用は、全額国庫負担。
事務費は、予算の範囲内で国庫負担。
消費税が10%に引き上げられた財源をもとにしている。2019/10/1施行です。
扶養親族等は、所得税法の規定
所得の範囲は、道府県民税の規定による非課税所得以外の所得
給付金は、非課税です。
参考
平成二十四年法律第百二号
年金生活者支援給付金の支給に関する法律
平成三十年厚生労働省令第百五十一号
年金生活者支援給付金の支給に関する法律施行規則
平成三十年政令第三百六十四号
年金生活者支援給付金の支給に関する法律施行令